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全てフィクションです。登場する人物・団体は架空のものです。

ハクセンシュアに憧れて

全ての手に、血脈が通っているのだーーーー

この名言を残したのは、かの有名なチェスの第16代世界チャンピオン、ルノアール・ハクセンシュアである。

彼の指す手は全て無駄がなく論理的で、かと思えば突然感情的とも見れるような泥臭さを見せる。そう、彼は、見るものを決して飽きさせない天性のエンターテナーであった。

と同時に、巷では有名な口説きのプロであった。

彼が最初にある女性と接触する時、その発話の一言目から、すでに伏線は張り巡らされている。それは外から見ても一切そんなそぶりがないし、ターゲットである女性ももちろん気づかないし、恐ろしいことに、ハクセンシュア本人すら、気づいていないのだ。

それほどまでに彼は洗練されており、無意識のレベルで運命の糸を手繰り寄せることに長けている。複雑な4次元の迷路ですら、まるで初めからわかっていたかのように、スタートからゴールまでを最短距離で結んでしまう。

脳科学の研究が進んだ現代において、彼の口説き方のいくつかは、見事に理にかなったものであることも実証された。サブリミナル効果、潜在意識への侵入。彼は紛れもなく強盗である。

彼は決して無駄な手を打たない。

そう、全ての手に、血脈が通っている、まさにその言葉の通り。

 

そして、端的に言えば僕は彼に憧れている。

このブログは彼に少しでも近づくために書いていくつもりだ。

 

チェスの駒の中ではビショップが一番好きだ。

ビショップは斜めにしか動けない。斜めに突き進めるから縦横無尽で推進力があるようにも思えるけれど、その実、白黒が交互に配置されているチェスの盤において、ビショップは、ゲーム中、白の上、または、黒の上、どちらかしか動けない。

そんな、半分のマスだけしか動けない制約を受けながらも、斜めのラインに圧力をかけ、ゲームの中盤を担っていく姿は、健気で、極めて人間的で、好きだ。

 

全ての手に血脈を通わせる。ビショップなりに、動き回ってみる。